最近、メンタルヘルスという言葉をよく耳にします。現代社会で働くすべての人々がいきいきと働ける環境にするためには、メンタルヘルスケアが欠かせないと言われています。
しかし、メンタルヘルスケアがなぜそこまで必要とされているのか明確にわかっていないという方がいるかもしれません。
今回のコラムでは、メンタルヘルスの意味や必要性について詳しく解説していきます。
また、メンタルヘルス低下の予防策やメンタルヘルスケアについても紹介しますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
メンタルヘルスの意味を知って、働きやすい職場環境を
メンタルヘルスは、仕事をする上で非常に大きく関係してきます。
もしかしたら、あなたの職場にもメンタルヘルスの不調によって悩んでいる方がいるかもしれません。
一体どういった意味を持つのか、詳しく見ていきましょう。
よく聞くメンタルヘルスってどんな意味?
メンタルヘルスとは、心の健康状態のことです。
体が健康だとテキパキ体を動かせるのと同じように、心が健康だと意欲的な姿勢で仕事に取り組むことができ、職場環境にも適応できます。また、プライベートも充実して公私ともにいきいきとした生活を送ることができます。
もしメンタルヘルスが低下したら、集中力がなくなり適正な判断ができなくなります。
仕事で些細なミスを繰り返し、さらにそれが積み重なることでもっと大きなストレスへと発展してしまうことも。
こういったストレスが蓄積すると、以下のような精神的な病気になってしまう可能性があります。
・うつ病
・自律神経失調症
・薬物依存症
・睡眠障害
・摂食障害
・パニック障害
・PTSD
今まで健康だった人が突然上記のような病気を理由に出勤できなくなったり、入院してしまったというケースはたくさんあります。
しかし、本人がこういった症状になっても、周りの人は気づかなかったりする場合がほとんどです。また本人も、自分がどれほどのストレスを抱えているのか、正しく判断できないことが多いです。
こういった事態に陥らないために、メンタルヘルス低下の主な原因についてしっかり確認していきましょう。
メンタルヘルス低下の原因
体に大きな異常がなくても、大きな悩みを抱えていたり、精神的に疲労しているとメンタルヘルスが低下します。
具体的には、会社の業務内容や給与に不満があったり、成果主義による大きなプレッシャーを抱えているなどの仕事に関する悩みがあります。
また、上司、先輩との付き合いがうまくいかないなど人間関係の悩みも多いものです。
近年はそういったパワハラやモラハラなどの問題が数多く取り上げられていますよね。
社会生活を送る上でこのような壁にぶつかることは、ある程度仕方のないことかもしれません。
しかし、そういった問題を防ぐために適切な対策を行うのは、自分の心を守るために欠かせないことです。
メンタルヘルス不調への対策
企業では、従業員のメンタルヘルス不調への対策のために以下のようなことが行われています。
・セルフケア
従業員ひとりひとりに自身のストレスの状況を把握させ、改善方法や解消法を考える
・ラインケア
企業のマネージャーが部下に対しメンタルヘルス対策を行う
・職場内産業保険スタッフなどによるケア
社内の人事労務管理や産業医、保険スタッフがメンタルヘルス対策を行う
・事業外資源によるケア
社外の専門機関に依頼し、メンタルヘルス対策を行う
こういったメンタルヘルス対策を行うことを、メンタルヘルスケアと言います。
ストレス社会で働く人には、メンタルヘルスケアが必要
前章ではメンタルヘルスの意味や低下の原因についてお伝えしましたが、ここからはメンタルヘルスケアについて解説していきます。
人を管理する立場にある人にとっては抑えておきたい重要ポイントになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
メンタルヘルスケアっていったい何!?
メンタルヘルスケアとは、現代社会で働くすべての人々がいきいきと働けるよう、その人に合った援助をすることです。
メンタルヘルスの低下の度合いは、人によってさまざまです。
過度なストレス状態に陥っているが、重要な案件を任されていたり仕事が山積みで勤務しなければならない人、なんとか出勤できたとしても、強いストレスから勤務中に具合が悪くなってしまう人など、いろいろな症状の人がいます。
そういった一人ひとりの症状に対し、適切なケアを行う必要があります。
メンタルヘルスケアの重要性を知ろう
メンタルヘルスケアが重要視される背景には、以下のような理由があります。
・職場の生産性の低下防止
メンタルヘルス不調が続くと、重要な決定事項などの判断ができなくなり、仕事へのやる気もそがれてしまいます。また通常よりも仕事のスピードが遅くなるため、本来の業務遂行能力が発揮できなくなります。
このように生産性が低下すると会社の業績に悪影響が出ることも考えられるので、メンタルヘルスケアが重要視されています。
・働く人の活力の向上
メンタルヘルスに異常のない人でも、仕事をするのが面倒くさいと思っていたり、心の中で行きたくないと思っている人は多いものです。
そのため、従業員全員の士気を高めるために職場環境の改善や組織開発を行うことで、従業員の労働時間の質を高める動きをとっています。
・リスクマネージメント
メンタルヘルス不調による集中力や注意力の低下が、思わぬトラブルや事故につながる可能性があります。
大きな事故が起こった場合、本人だけでなく周囲の安全にも危険が及ぶ可能性があります。
また、同じ会社の従業員だけでなく取引先にまで影響が及ぶと、会社にとって大きな損失になりかねません。
こういったトラブルを未然に防ぐためにも、メンタルヘルスケアは必要になってきます。
ストレスの多い職場環境には、メンタルヘルスケアが不可欠
あなたの会社はストレスの多い職場環境ですか?
自分は大丈夫!と思っていても、周囲を見渡すと大きなストレスを抱えて今この瞬間も悩んでいる人がたくさんいるかもしれません。
従業員と会社の両方を充実させるためにも、適切なメンタルヘルスケアを実践していきましょう。
メンタルヘルスとリスク管理
長時間労働などが原因でメンタルヘルス不調に陥り、精神的な病気を患う人が出てくることで、会社の過失が認定されることがあります。そういった場合、会社に損害賠償責任が問われることになります。
これが原因で実際に命を落とす人もいるので、長時間労働は以前から深刻な問題になっています。
新しく認定された労災でも、長時間労働が従業員の心理的負荷となり、いずれ精神的な病気を引き起こす原因になると考えています。
また、うつ病などの病気を発症する1ヶ月前に極度の長時間労働が認められれば、労災と認定される可能性が高いです。
メンタルヘルス不調への3つの予防策
メンタルヘルス不調を予防するために行うべき3つの予防策を順番に紹介します。
1.メンタルヘルスを予防
メンタルヘルス不調を未然に予防する方法で、メンタルヘルスケアの情報提供や教育研修、ストレスチェック制度が挙げられます。
これらを繰り返すことで、職場環境の改善にもつながっていきます。
2.適切な処置
メンタルヘルス不調を訴える人がいたら早めに対応します。
また、自発的に相談する人以外にも、周囲から見ていつもと様子が違う人がいたり、本人から悩みを打ち明けられて気づいた場合も対応します。
処置方法としては、産業医との面談や医療機関への受診を通して措置するというものです。
3.職場復帰支援
メンタルヘルス不調となり、やむを得ず休職してしまった従業員に対し、休職してから復職した後の一連の流れをしっかりとフォローします。
従業員が本当に職場復帰できるかどうかの最終判断は、産業医や医療機関が行います。
復職してからすぐに休職前のように仕事ができる人は少ないものです。専門機関や周囲の人にフォローしてもらいながら少しずつ復帰できるようになります。
厚生労働省の対策について
厚生労働省は、メンタルヘルスケアについて「本人はもちろん、同僚や上司、産業医や社外の専門機関が連携しながら社内全体で作り上げていくもの」としています。
メンタルヘルスケアは、人事部で労務管理を担当している人だけが取り組むものではないということです。
従業員全員が心も体も健やかな状態で働くためには、誰もが意識していきたいことですね。
まとめ
メンタルヘルス不調に陥ると、心や体に影響を及ぼすだけでなく、会社や周囲へも悪影響を与えかねません。
周囲と良好な関係を築き、スムーズに業務を遂行するためにも、まずは自分を大切にしてあげることが重要です。
適切なメンタルヘルスケアを行うために、知識を持った産業医や専門機関を利用してみるのもオススメです。
従業員全員で、元気に会社を支えていきましょう!