ストレスチェックを実施した際に高ストレスと診断された社員には、「医師との面接指導を受ける」または「休職をさせる」などの処置をとりましょう。高ストレス者と診断された人が医師と面談を希望した場合、会社には面談をおこなう義務があります。
仮に面談の申し出がない場合であっても放置することは危険です。ここではそんなストレスチェックにより高ストレス者と診断された人への対応と、社内でできるサポートについて解説していきます。高ストレス者への正しい対応方法をここで確認していきましょう。
ストレスチェックにおける高ストレス者への対応
ストレスチェックで高ストレス者と診断された場合、面接による指導をおこなうことが推奨されています。高ストレス者への対処を確認していくにあたり、まずは高ストレス者と選定される基準と、ストレスチェック結果の取り扱いについてみていきましょう。
高ストレス者の選定基準
高ストレス者はストレスチェックの結果をもとに、選別がされます。高ストレス者とは、主にチェック結果から「ストレスの自覚症状が高い人」・「ストレス原因および、周りからの環境・状況が極めて悪い人」を指します。
具体的には、ストレスチェックの結果の「心身のストレス反応」の項目、または「周囲のサポート」や「仕事のストレス要因」の項目で当てはまる点が多い人が該当します。
ほかにも心理業務にたずさわる心理職が労働者と面談をおこない、その面談結果を参考にして選定する場合もあるそうです。おもな職業には医師や保健師、歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師、産業カウンセラー、臨床心理士などが含まれます。
ストレスチェック結果の取り扱いには注意
ストレスチェックの結果は、ストレスチェックの実施者や実施事務労働者によって本人に通知がされます。また、結果の内容は人事部と労務部にわかれる「人事労務部門」内で、本人の同意を得られた場合のみ5年間保存される仕組みです。
ストレスチェック結果の内容は、本人の同意なしに事業者などの他者へ伝えることができません。もし仮に結果内容を漏らしてしまった場合、守秘義務違反と判断され罰則が発生するので取り扱いには十分注意をしましょう。
高ストレス者への面接指導の内容
ストレスチェックは従業員が50人以上の事業場で実施し、高ストレス者と判断された人が産業医との面談を受けられる場を設けるといった義務があります。しかし高ストレス者と判断された場合でも、本人が面談を希望しない場合はその限りではないことも覚えておきましょう。
ここでは高ストレス者が面談指導を受ける場合に実施する人はだれになるのか、いつどこでどのような内容の指導がされるのかを紹介します。
・面接指導をする人
これは先ほど「ストレスチェックにおける高ストレス者への対応」の「高ストレス者の選定基準」で説明したとおり産業医や医者、臨床心理士などの心理職がおこないます。産業医を雇って面接をおこなう場合は、産業医に依頼をしておく必要があるので事前に準備をしておきましょう。
・いつ、どこで?
面接はストレスチェックの結果が出されてから1ヶ月以内に実施します。面接指導は会社でおこなう健康診断などと同じような扱いをするため、就業時間内におこないましょう。
日程は実施する対象者の都合に合わせることが可能で、周囲の目が届かない環境での実施が可能です。(病院など特別に場所を設ける必要はない)
・内容
ストレスチェックでおこなった項目の確認や、現在の労働時間や業務内容といった労働状況の確認です。ほかにも、抑うつ症状などの有無や生活の状況などについてもチェックします。
次は面接指導をするにあたり、会社が準備しておくべきことについてみていきます。
面接指導に向けて会社が用意するもの
高ストレス者に面接指導をおこなう際は、以下の点を用意しておきましょう。
・対象者の個人情報
・ストレスチェックと健康診断の結果
・チェックをおこなう直前1ヶ月間の勤務状況
(労働時間・日数・内容)
・ストレスチェックをおこなった時期の状況
(繁忙期または閑散期)
・職場の環境
面接指導をする際にこれらの内容を準備しておくことで、スムーズに面接指導をすすめることできます。
面接指導の結果も取り扱いに注意すること
制限なく面接指導でおこなった記録を共有することは、してはいけません。そのため、結果が対象者や面接をおこなった人以外の第三者に知られないよう、厳重に管理をする必要があるのです。
保存方法には書面または電磁的記録の2択があります。事業者が利用する保管場所や、収納棚などに施錠をして保管しておくと安心でしょう。
高ストレス者への社内サポートも必要
ストレスチェックによって高ストレス者として診断された人への対処として、面接指導のほかに社内でのサポートも重要となります。しかし、高ストレス者の半数は面談を受けていない、というデータもあるそうです。
面接の申し出や働きかけがない場合でも、安全配慮義務の観点から、放置は避ける必要があります。ですので、ここでは社内でできる高ストレス者へのサポートについて紹介していきます。
高ストレス者が相談しやすい環境作りや社内教育
管理監督者を設けて、ストレスをためない働き方ができるよう社内教育を実施していくことが大切です。また、仕事をする上で生じる悩みや不安はだれかに相談をすることで解消できる場合もあります。ですので、高ストレス者が相談しやすいよう、相談室などを設置するとよいでしょう。
そのほかにも、メンタルヘルスの専門講師から研修をしてもらうという方法もあるので、気になる方は調べてみてはいかがでしょうか。
休職を想定した職場復帰支援も
医師による面接指導の結果によっては医療機関の受診や、何か月間の休職が必要だと診断されることもあります。そのため、会社側は高ストレス者の休職も想定し、職場復帰支援の体制を整えておくとよいでしょう。高ストレス者が相談・復帰しやすい職場の環境づくりをすることで、ストレスを軽減させることができるかもしれません。
ストレスチェックや社内環境に関する相談は産業医へ
ストレスチェックや社内環境についての相談は、職場での労働者の健康管理などを指導し、助言することができる産業医がおすすめです。しかし、産業医ではなく、主治医でもよいのでは?と思う方もいるかもしれません。
主治医は患者に対して検査や診断をおこない、産業医は面接による指導をおこなう人を指します。また、主治医には病気の人などが対象ですが、産業医は、働く人であれば心身が健康な人からすでに不調が出ている人まで対象にしているのが大きな違いです。
しかし、いざ産業医を探そうにも、どこで探したらいいのか迷う方もいるのではないでしょうか。そんなときはぜひ弊社をご利用ください。
産業医を探すにあたり、土日でも対応をして貰えたほうがよかったり、女性の産業医のほうがよかったりといったさまざまな要望にお応えすることができます。電話またはメールから相談ができますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
ストレスチェックにより高ストレス者と診断された際は、産業医による面接指導を受けるようにしましょう。産業医による面接指導をおこなうことによって、対象者にとって適切な対処を施すことができます。仮に休職が必要となった場合でも、医師や社内によるサポートをおこなうことで、休職後の社会復帰を支援することができるでしょう。
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